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2016年3月21日月曜日

研究紹介:烏口鎖骨靭帯の肉眼解剖〜肩関節39 2015 Prceeding 877

後藤英之ら 肩関節学会誌 2015 39 Proceeding 877より


烏口鎖骨靭帯(CCL)の損傷によって生じる肩鎖関節脱 臼や鎖骨遠位端骨折に対して人工靭帯や自家腱を用いた再建術の報告が増えてきています。

それ以外にも、我々セラピストにとってCCLの構成成分である、円錐靭帯(CL)および菱形靭帯(TL)の正確な付着部位や形態につい て理解は重要です。



棘鎖角 Shoulder Complex より引用

TLは棘鎖角が狭くなる動きを制動しています。(肩甲骨の伸展・内転・下方回旋など)
CLは棘鎖角が広くなる動きを制動しています。(肩甲骨の屈曲・外転・上方回旋など)

つまり、CCLが拘縮するとこれらの動きが制限されることになりますから、CCL解剖の理解が運動療法への展開に繋がりますし、触診を行う上での目安ともなります。

<後藤らの研究の要旨>

TLおよび CLの鎖骨側の付着部の中心は
鎖骨遠位端からそれぞ れ 18.5±2.4mm および 48.4±9.8mm 内側
鎖骨前縁からそれぞれ 8.9±2.3mm および 13.4±3.6mm 後方に位置

TLおよび CLの烏口突起側の付着部は
烏口突起の内縁から 8.6±2.2mm および 3.9±2.8mm外側
烏口突 起の先端から 30.2±2.9mm および 37.1±3.3mm 近位

TLの走行は 13.9±3.8度後方に傾斜し、17.9±5.1度外側に傾斜
CLの 走 行 は 1.5±4.9度後方に傾斜し、10.9±6.0度内側に傾斜

臨床上、ミリ単位の詳細な位置を理解する必要はありませんが、本研究の結果を参考に触診することで、治療成績の向上に繋がるものと考えます。

投稿者:小野志操